Hosei Erasmus Mundus Program Euro Pholosophy

Hosei Erasmus Mundus Program, Euro Pholosophy - Over the two academic years 2008-9 and 2009-10 at Hosei University, classes for the first semester of "Euro Philosophy", an EU Erasmus Mundus Master Program, have taken the form of one-month intensive lecture series. This is the first instance in Japan of administering such a large-scale intensive lecture series within the Erasmus Mundus Master Program.

report

金森修先生の授業 (2013)

東京大学の金森修先生の2回の講義が行われました。

初回の講義では、「科学的合理性と東洋の行動科学」というテーマで、大正期 (1912-26)を代表する日本の生理学者である橋田邦彦(1882-1945)が中心に取り上げられ、『生理学要綱』 (1923)などの科学的著作が紹介されました。また、道元 (1200-1253)を尊敬し、『正法眼蔵』の注釈者でもあった橋田における、科学と「禅宗」の関係や、「全機性」という概念についても説明がなされました。さらに、橋田の行動科学に焦点が当てられ、彼の「行としての科学」について、実験室を「道場」と捉える独自な考え方を踏まえつつ、橋田における生理学と倫理的行為の関係が明らかになりました。(橋田論を所収した金森先生の著作として、以下が上梓されています。『自然主義の臨界』勁草書房、2004)

二回目の講義のテーマは、「近代日本のダーウィニズムの事例」でした。ここでは、明治期の日本の官僚であり、政治学者であった加藤弘之(1836-1916)の思想について解説がなされました。初期の加藤の主著として、中国を対象に立憲政体を明確に主張した『鄰草』(1861)や、啓蒙思想家として、平等主義を掲げて、優れた立憲思想について解説した『真政大意』(1870)などを著しました。しかし、後に加藤は、ダーウィン(1809-1882)やヘッケル(1834-1919)の影響を受け、ダーウィニズムへの転向を始めており、1882年の『人權新説』では、社会進化論の立場から民権思想に対する批判を明確にし、論争を巻き起こしました。本講義では、同書における、生存競争の中での「優勝劣敗」の概念などに着目しました。さらに、晩年の加藤の哲学的著作として、とりわけ、『自然と倫理』(1912)が紹介され、「社会有機体論」 、「利己」、「利他」の議論などを考察することで、生物学的唯物論者としての加藤の姿が浮き彫りにされました。(加藤弘之に関する金森先生の論考として、以下が挙げられます。Dictionnaire du Darwinisme et de l'Evolution, F-N, Paris, P.U.F., janv.1996, pp.2434-2442.)

金森修先生