Hosei Erasmus Mundus Program Euro Pholosophy

Hosei Erasmus Mundus Program, Euro Pholosophy - Over the two academic years 2008-9 and 2009-10 at Hosei University, classes for the first semester of "Euro Philosophy", an EU Erasmus Mundus Master Program, have taken the form of one-month intensive lecture series. This is the first instance in Japan of administering such a large-scale intensive lecture series within the Erasmus Mundus Master Program.

report

チプリアン・ジェレル先生の授業 (2013)

ルーマニア、アレクサンドロル・イオン・クーザ大学のチプリアン・ジェレル先生の6回にわたる授業が開講されました。今回のテーマは、「Aspects de la causalité dans les débats actuels sur la théorie de l'évolution」であり、進化論の問題を中心に、この分野における研究史の解説が主になされました。(本講義と関連するジェレル先生のご業績の一例として、以下が挙げられます。Causal partitioning and causal status in multi-level natural selection[Evidence and Causality in the Sciences Canterbury, 5-7 September 2012]by the Centre for Reasoning at the University of Kent )

本講義において、生物学初心者である筆者が、最も興味を抱いた内容を二つ挙げると、一つ目は、ダーウイン(1809-1882)以来の進化論における、「自然選択」という概念を、どのように捉えるべきなのか、つまり、「自然選択」を偶然的な性格のものとして解釈すべきなのか、それとも、生物学の哲学において盛んに議論されてきたように、より因果的に説明すべきなのか、という難問です。二つ目は、1950年代頃から続いている、「自然選択」における、「群選択」と「個体選択」の議論において、どちらの解釈がより説得力を持っているのか、という問題です。

実際に、本講義を聴講して印象深かったのは、上記の諸問題に関する現在の研究動向は、筆者が思っていたよりも、より緻密になっているということでした。例えば、後者については、ソーバー(1948-)とウィルソン(1949-)が提唱した「マルチレベル選択」という考えに依拠すると、これまでの「個体選択」と「群選択」の諸理論のうち、どちらかを一方的に支持するのは困難であることを感じました。さらに、「因果性」の問題については、アメリカの集団遺伝学者 であったジョージ・プライス(1922-1975)の考案した「プライスの公式」と「マルチレベル選択」の関連を通して、この問題に鋭く迫れることを知り、また、その妥当性を考察することに、ジェレル先生は、強いご関心をお持ちであることも窺われました。

本講義は、生物学の専門的な内容であったにもかかわらず、ジェレル先生の理解しやすい解説により、この分野における本質的な問題と、それに対してなされた様々なアプローチ方法を、詳しく知ることができました。


ジェレル先生