Hosei Erasmus Mundus Program Euro Pholosophy

Hosei Erasmus Mundus Program, Euro Pholosophy - Over the two academic years 2008-9 and 2009-10 at Hosei University, classes for the first semester of "Euro Philosophy", an EU Erasmus Mundus Master Program, have taken the form of one-month intensive lecture series. This is the first instance in Japan of administering such a large-scale intensive lecture series within the Erasmus Mundus Master Program.

report

授業風景その8 (2012)

現在、京都大学で研究生をされているヴァンサン・ジロー先生の3回にわたる講義が開講されました。

本講義のテーマは「西谷啓治と形而上学」であり、ここでは、日本の哲学者で、京都学派の西谷啓治(1900-1990)について、彼の著作『宗教とは何か』(1961)を中心に、西田幾多郎(1870-1945) やハイデガー(1889-1976)に師事しながら、西谷がいかに彼らを乗り越えていったのかについて議論が行われました。

筆者の理解した範囲で、本講義における西洋思想との文脈で興味深かったのは、西谷が「ニヒリズム」の克服を目論んだ点でした。西谷は最終的に「大乗仏教」の伝統に根ざした「空」の立場につきましたが、例えば、西谷は著書『ニヒリズム』(1949)において、ハイデガーのニーチェ(1844-1900)解釈を批判的に考察しながら、「ニヒリズム」と「空」の関係を主題的に扱っています。そしてこの「空」を理解するために欠かせないのが「虚無」の観念といえます。というのも、とりわけ、西谷の時間論における「虚無」の位置付けは重要であり、それを踏まえ、『宗教とは何か』で繰り返し強調され、西谷によると、ニヒリズムの真の克服を可能にするのが、「虚無」の立場から「空」の立場への転換だからです。

西谷の時間論は、アウグスティヌスにまで遡ると思われますが、ジロー先生の博士論文が、アウグスティヌスを主題としたものであり、また先生の目下のご関心が、キリスト教と仏教の関係をめぐり、古代西洋哲学から現代東洋思想までを一巡するものであることについて、彼がエラスムスプログラムの理念にかなう研究者であることを実感しました。(ジロー先生の博士論文のタイトルは以下の通りです。Signum et vestigium dans la pensée de saint Augustin. Par Vincent GIRAUD)


ヴァンサン・ジロー先生