Hosei Erasmus Mundus Program Euro Pholosophy

Hosei Erasmus Mundus Program, Euro Pholosophy - Over the two academic years 2008-9 and 2009-10 at Hosei University, classes for the first semester of "Euro Philosophy", an EU Erasmus Mundus Master Program, have taken the form of one-month intensive lecture series. This is the first instance in Japan of administering such a large-scale intensive lecture series within the Erasmus Mundus Master Program.

report

授業風景その6 (2012)

東京大学の鈴木泉先生の3回にわたる講義が開講されました。

本講義のテーマは「スピノザと現代フランス哲学の諸問題」であり、ここではまず、≪ La philosophie de la ritournelle : Deleuze & Guattari et la pop'music ≫という表題のもと、ジル・ドゥルーズ(1925-1995)とフェリックス・ガタリ(1930-1992)の共著『千のプラトー──資本主義と分裂症』(1980)における「リトルネロ」、「領土」といった概念をめぐり議論がなされました。(このテーマに関する鈴木先生のご業績として、以下の論文が挙げられます。「リトルネロ/リフの哲学 ドゥルーズ&ガタリの音楽論に寄せて」『現代思想』「ドゥルーズ」第36巻第15号、青土社、2008年、pp. 194-203)

また、「力能と<事象性の度合い>――スピノザ『デカルトの哲学原理』第一部定理7 に関する覚書」と題する論考が示され、スピノザ(1632-1677)の『デカルトの哲学原理』(1663) や『形而上学的思想』をテクストとして、デカルト哲学の核心に潜んでいる「力能」概念が『デカルトの哲学原理』においては消え去り、『エチカ』(1677)において浮上する意味について議論が行われました。(この議論の基となった鈴木先生の学会発表として、以下が挙げられます。《 Degrés de réalité 》 et puissance. Remarques sur Principia... I, 7, scolie, Journée d'étude franco-japonaise, 《 Spinoza interprète de Descartes : les Principia Philosophiae Cartesianae 》, Université de Paris I, 2007 年6 月9 日)

さらに『スピノザと表現の問題』(1968)を著したドゥルーズをはじめ、M.ゲルー(1891-1976)、A.ネグリ(1870-1945)、A.マトゥロンといったスピノザ研究を代表する思想家が紹介されたのち、「一義性」「内在」「個体化」といった概念から議論が試みられ、そのうち、筆者が特に関心を抱いたのは、グレゴリー・ジャン氏の専門とする、M.アンリ(1922-2002)の著書『スピノザの幸福』(1944)におけるスピノザの影響であり、「自我」の問題に深く通じる、アンリの「自己触発」といった概念が、いかに解釈されうるのか改めて考えさせられました。

現代フランス哲学を中心に進められた本講義は、本プログラム期間中に東京大学で行われた講演会や学生によるワークショップの内容とも深く関連することで、稔り多い時間となりました。


鈴木泉先生