Hosei Erasmus Mundus Program Euro Pholosophy

Hosei Erasmus Mundus Program, Euro Pholosophy - Over the two academic years 2008-9 and 2009-10 at Hosei University, classes for the first semester of "Euro Philosophy", an EU Erasmus Mundus Master Program, have taken the form of one-month intensive lecture series. This is the first instance in Japan of administering such a large-scale intensive lecture series within the Erasmus Mundus Master Program.

report

授業風景その2 (2012)

アルノー・フランソワ氏に続いて、アレクサンデル・シュネル氏による6回の授業が開講されました。現在、フランス・パリ第4大学で教鞭をとるシュネル氏の専門は、カントやフィヒテ、シェリングなどのドイツ古典哲学と、フッサールを中心とする独仏の現象学です。

今回の講義のタイトルは、「現代フランス現象学入門(レヴィナスとリシール)」でした。(シュネル氏の今日までの業績のうち、本講義に関するものとして、以下の二著が上梓されています。En face de l'extériorité. Levinas et la question de la subjectivité, coll. « Bibliothèque d'Histoire de la Philosophie - Poche », Paris, Vrin, 2010. Le sens se faisant. Marc Richir et la refondation de la phénoménologie transcendantale, Préface de Guy van Kerckhoven, Bruxelles, Ousia, 2011.)

さて本講義の主な流れを私が理解した限りで、以下、簡単に書かせていただきます。(なおここでは、東京大学の木山さんからも貴重なご教示をいただきました。)

-さまざまな性質の背後にある実体を第一に考える伝統的な存在論を否定し、性質の間の関係や差異、つまり現象にだけ注目するのが現象学だとまずは言うことができる。

-しかし、現代フランス現象学は、マルディネ(1912-)やテンゲリ(1954-)が見るように、この現象の概念のさらに捉え直しを行なっている。すなわち、それまでは、見たり聞いたりする主観の働きに相対的で、主観が広げている地平の内部で生じているのが現象だとされていたのが、現代フランス現象学では、現象が、例えばそうした地平の外部から到来する出来事という形で、捉えられている。

-必ずしも一枚岩ではないが、この新しい流れの中に様々な思想家を置くことができる。ここではレヴィナス(1906-1995)とリシール(1943-)とをとくに取り上げたい。

-まずレヴィナスは、予期されるものを超えた絶対的に他なるものの現れを語る「顔」という概念や、全体性を超える「無限」という概念を提出した。すなわち、そこでは、存在するものは思考の相関者であるだけでなく、さらに思考を基礎付けるものでもあるという、存在と思考との相互の条件づけが語られているのである。

-またリシールは、われわれの世界への関係を、「生成しつつある意味の匿名的で非主観的なプロセス」として理解しようとした。すなわち、彼は、混沌の中で、流動的なものと固定されたものとが相互に運動を行い、その中で「意味の形成」が行われていると主張した。

以上、本講義は、専門家以外では日本においてまだ十分に知られているとは言い難い、現代フランス現象学の動向を詳しく伝えるもので、大変に貴重なものであったと言うことができます。そのためか、毎回、他大からも多く聴講者を集めていました。


シュネル先生
教室
説明するシュネル先生